TTLを使って簡単ストロボ撮影
公開日:2021.10.10
クリップオンストロボを選択する際に、『TTLが使える方がいいよ』という話を聞くことがあるかもしれません。
最近ではほとんどのクリップオンストロボでTTLが使えるようになってきましたが、その分、カメラと同じメーカーのストロボを選んだり、サードパーティーストロボでは使用カメラ用のクリップオンストロボを選択しなければならないことにもつながってきます。
TTLが使える方がいいのはわかりますが、こだわるほどの必要性があるのか。
今回はストロボに搭載されているTTLについて深掘りしてみましょう。
TTLについて
最初に、TTLはThrough The Lensの頭文字をとったもので、文字通り(カメラについている)レンズを通った光をカメラ内の調光センサーが計測してストロボの発光量を決める機能をいいます。
カメラをオートで撮影するのと同様、撮影状況に合わせてストロボが自動発光してくれるので、ストロボを使うのがかなり容易になります。
しかしながら、各カメラメーカーによって呼称が変わり、例えばCanonならE-TTL、Nikonならi-TTL、SonyならTTLとなりますが、基本は同じ自動調光機能です。
最近では、カメラに取付けたコマンダーとリンクすることで、モノブロックストロボでもTTLが使えるようになっており、クリップオンストロボ専用機能とは言えなくなっています。
TTLの仕組みについて
撮影時、シャッターを押し切る直前にストロボがプレ発光(観測用の発光)をして被写体に弱い光を当て、跳ね返ってきた光を「カメラのレンズを通して測光」し、シャッターが切れる際のパワー(発光量)を決定します。
ここまでの動作を、撮影の都度行っています。
そのため、撮影距離が変わったり、絞り値やISO感度を変更しても、常に標準露出で撮れるようにストロボ光が自動調光されるのが最大のポイントです。
TTLの使い分け
TTLは便利な機能とはいえ、写真を撮る時の状況によってはメリットにもデメリットにもなりますので、経験や状況による使い分けをすると、よりいい写真を撮ることが可能です。
TTLを使うメリット
- 初心者でもストロボを使った撮影ができる
- 環境が変わっても自動設定してくれるのでストロボを意識しなくても撮影ができる
ストロボを使った撮影は、通常の撮影に加え『ストロボの光量』と設定する事項が一つ増えることになり、撮影が難しくなるので、慣れない内は失敗することも多くなりますが、TTLを使うことで通常の撮影と同じ感覚で撮影ができるようになります。
TTLを使うデメリット
- TTLはカメラとストロボの性能や組合せによっては利用ができない
- TTLは自動設定のため、どのくらいの光量を使っているか判断ができない
- 撮影ごとに環境光を測定するため、シャッターを押せるタイミングが通常より遅くなる
- 撮影ごとに設定が変わるため、後の現像時に設定を一括でコピーすることができない
記念写真のように1ヶ所数枚の写真撮影であれば問題はありませんが、同じ場所で何十枚も連続して写真を撮るポートレート撮影の場合、撮影設定が統一化できないという欠点があります。
TTLを使えばどんな状況でも撮影できるか
TTLはどんな状況でも使えるのか?という疑問につきましては、『使用するストロボ次第』というのが回答です。
使うストロボがハイスピードシンクロに対応していれば、どんなシャッタースピードでも使うことができますので、どんな状況でも使えます。
カメラとストロボのメーカーが異なりTTL対応でない場合、例えばCanonのカメラにNikonのストロボをつけた場合、(一般的な機種の場合は)シャッタースピードの上限が1/250で抑えられてしまいます。
室内の場合、シャッタースピードの上限が1/250でも困ることはないのですが、屋外で、しかも夏場だとしたら、白飛び写真を連発してしまいますよね。
特に、カメラの撮影モードが、プログラム・露出優先になっていると起こりやすいです。
(日中シンクロでもしない場合、ストロボ使うか疑問ですが)
ストロボを使うとうまく撮影できないという方が多い原因は、カメラとストロボのシンクロスピードの関係を知らないためです。
前述の通り、ハイスピードシンクロ対応のストロボを使わない限り、ストロボを付けることで、撮影時のシャッタースピードが規制されてしまい、カメラが調光した設定で撮影ができない関係上、白飛び(真っ白)になってしまうことが起こります。
この辺りはカメラとストロボのシンクロスピードが関係してくるのですが、シンクロスピードについては『ストロボを使うカメラマンは要注意!シャッター速度を制限するシンクロスピードとは』で詳しくご紹介していますので、ストロボがうまく使えないと思った場合は目を通してみてください。
ここで知っていただきたいのは、TTLを使うためには使用するカメラに対応したストロボを使う必要があるという点です。
まとめ
ストロボのTTLは便利な機能なので、使いこなすことができれば撮影の強力なサポートをしてくれます。
逆に、機械任せの部分があるので、こだわりを持った撮影の時には逆に足を引っ張ることもあり得ます。
カメラをオート、ストロボをTTL設定で試しに何枚か撮影した後、写真のexifデータ(撮影設定)を確認してみると、シャッタースピードやISOが微妙に変化していることに気づくでしょう。
- 撮影設定を気にしない写真初心者~初級者
- 写真を撮る時に細かい事を考えたくない(気にしない)方
- 写真を撮って出しで使う方
にとってはかなり助かる機能なのは間違いがありませんので、積極的に使ってみてはいかがでしょう。
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