屋外でのポートレートにストロボを使う(日中シンクロ)
最終更新日: 2019.08.20

ポートレート撮影をする時、プロならばいざ知らず、レフ持ちをしてくれるアシスタントをつけられる環境のアマチュアカメラマンはそう多くはないと思います。
実際、撮影現場ではカメラマン同士でレフの持ち合いをしたり、参加してくれるヘアメイク等のスタッフに頼んだりもします。
また、撮影する場所によっては使用機材を制限される場合があり、例えば新宿のとある公園では直径30cm以上のレフ板を使う場合は、公園の事務所に撮影許可を事前に申請しなければならない上、機材の使用条件に成果物(撮影した写真)の提出を求められたりすると、個人で撮影をしている場合、おいそれと申請する気にもならないでしょう。
少なくとも自分はなりません。
アシスタントもつけず、レフ板も使えず、それでも成果を残さなければならないとき、光を調整するための機材として(クリップオン)ストロボを使う事がよくあります。
今回は屋外で(主に)クリップオンストロボを使うテクニックをご案内します。(以下、ストロボと表記がありましたらクリップオンストロボの事とお考えください。)
現地に持っていくストロボの大きさや種類を考える
サポートしてくれるスタッフもなく、大き目のレフ板を使う事の出来ない等、制限がかかる状況で、モデルと一対一の撮影をするカメラマンが、モデルの顔を明るくするために、またアイキャッチを入れるための光源としてストロボを使うことは決して少なくはないですし、私もモデルの顔が暗くなるよりはストロボを使う事を良しとするスタンスをとっています。

ストロボは発光出力によって大きさと値段が変わり、アンブレラやソフトボックスといったオプションを使うかどうかによっても機材の総量が変わってきます。
大きいストロボ+アンブレーラーやディフューザー等のオプションを持ち込んで調光するのであれば、結局は機材の制限に引っかかったり、アシスタントが必要になったりしますので、レフ板を持って行った方が軽くなるでしょう。
実際、都内の公園では60×60cmのソフトボックスを使っていると、『撮影許可を得ているか?』と聞かれることが多いです。
屋外で使う時にあると便利なクリップオンストロボの機能
屋外で軽いストロボを使う時と、スタジオでライティングを組んで撮影をする場合では、(クリップオン)ストロボに求められる機能が変わってきます。
もちろん、全ての機能がついていれば問題はないのですが、機能がついている分大きくなり、先の全体量の問題に行きつきますので、ピンポイントで自分が必要な機能を検討しましょう。
実際屋外で使っていて「これはあった方がいいよ。」という4つの機能です。
- 発光量(ガイドナンバーが大きい)
日が強い所で撮影するとストロボの光がとても弱く感じる時がありますので、撮影時に必要な発光量が多くなくても、ストロボパワーに余裕があれば、その分チャージ時間が短くなるなどメリットがあります。 - ハイスピードシンクロ(HSS)
屋外で日光が強い場合、ストロボのシンクロ機能によりシャッタースピードを遅い速度で制限されてしまう事があります(=真っ白な写真)。HSS機能がついたストロボを使うと、このシャッタースピードの制限から解放されます。(参照:ストロボを使うカメラマンは要注意!シャッター速度を制限するシンクロスピードとは) - (オフカメラで使う)スレーブ機能
屋外でストロボを使うからといって、いつもカメラの上で使うとは限りません。オフカメラで使うためにもクリップオンストロボ本体にスレーブ機能がついていると便利です。 - TTL自動調光
自分は使わないけれど、マニュアル設定が不安という場合はあったほうがいいかもしれません。
実際に屋外でストロボを使う場合(日中シンクロ)
女性を撮影する時はできるだけ柔らかい光を当てて撮影をしたい。
でも、屋外で撮影をしていると光の当たり方によって顔が暗くなってしまったり、露出補正をしたら背景が白とびしてしまう等、思った通りの光で撮影をすることが難しい事が結構あります。
そこで、屋外で十分な光がある場合でも、ストロボで光を足して光をコントロールしてみましょう。
明るい場所ではストロボを使う事はないと思うかもしれませんが、あえて強制的にストロボを発光させて、モデルを明るく撮影するテクニックを『日中シンクロ』と言います。
日中シンクロを使う事で、
- コントラストの高い写真を撮る事が出来る
- 背景が白とびしない
- 光の当たり方による影を消すことができる
等のメリットがあります。
日中シンクロの仕方
簡単に流れを見てみると、
- (周りの光が強ければ)ISOを一番低く設定する
- 背景の露出を好みの明るさでカメラを設定する
- モデルの顔が好みの明るさになるようにストロボの出力を設定する
- 撮影してみて全体のバランスと整える
という感じになります。
撮影現場のイメージに近い動画がありましたので、ご紹介します。
日中シンクロ時の注意事項
オンカメラでもオフカメラでもストロボを直射すると硬い光になりますので、『バウンス』『ディフューズ』等のテクニックを使って光を柔らかくするわけですが、屋外では機材制限や光量不足のため思ったようにはいかない事が多いかもしれませんので、日中シンクロをこれから始める場合、オプションを使わず、撮影の手順を理解するようにした方がいいでしょう。
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