TAMRON 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD:フルサイズ用高倍率ズームでポートレートを撮る
公開日:2020.10.30
TAMRONといえば高倍率ズームで定評があるレンズメーカー。
自分も8年以上前に写真家魚住誠一氏のレビューを読んで、SP AF28-75mm F/2.8 XR Di LD Aspherical [IF] MACRO(MODEL A09)を使っていた時期がありました。
最近のTAMRONはミラーレス用のSONY Eマウントに力を入れているし、自分もミラーレスカメラを使いだしてからSONYに変わったことで、色々なレンズを楽しめるようになりましたので、建前は旅行用として高倍率ズームのTAMRON 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXDを購入。
実際自分が撮るのはポートレートが99%なので、手軽に持ち運べるポートレートレンズとして使ってみた結果、特別な使用目的(B全のポスター等、大型写真に拡大等)でなければ十分使えると思いました。
それでは、もう少し詳しく見ていきましょう。
この記事の内容
TAMRON 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD(A071)の特徴と主な仕様
TAMRON 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD(A071)は、広角端28mmから望遠側200mmまでの焦点距離をカバーする高倍率ズームレンズ。
TAMRONのレンズは型番で呼ぶことが一般的なほどレンズ名が複雑で長い。
ズーム比は約7倍と高倍率ながら、絞り値がF2.8からのスタートとなっており、他の高倍率ズームに比較すると半段ほど明るい。
特筆すべきは、最短撮影距離がワイド端0.19m、テレ端0.8mと、マクロレンズほどではないにしろかなり被写体に寄れる点でしょう。
SONY純正FE24-240mm F3.5-5.6 OSSとの比較
高倍率ズームレンズなら既にSONYからも純正のFE24-240mm F3.5-5.6 OSSが発売されていますので、どちらが自分に向いているのかポイントを比較してみましょう。
SONY FE 24-240mm F3.5-6.3 OSS |
TAMRON 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD |
|
焦点距離(mm) | 24-240 | 28-200 |
解放絞り(F値) | 3.5-6.3 | 2.8-5.6 |
最短撮影距離(m) | 0.5m-0.8m | 0.19-0.8m |
フィルター径(mm) | 72 | 68 |
レンズ内手ブレ補正 | 有 | 無 |
寸法(mm) | 80.5×118.5 | 74×117 |
重さ(g) | 780 | 575 |
価格 | 120,425円 | 77,220円 |
(※価格は2020年10月末現在)
焦点距離が広いほうが良ければSONY、明るい・寄れる・軽いレンズが良ければTAMRONということでしょうか。
焦点距離と解放F値の関係
28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXDは使う焦点距離によって解放F値が変わる仕様になっています。
F値が変わるといっても、F5.6より大きくなることはありませんので、マニュアル撮影の時は絞りをF5.6以上に設定しておけば(勝手に変わる)心配はないですし、オートで使うのなら特に気にする必要はないでしょう。
個人的には35mmまでF2.8をキープしてくれていれば嬉しかったです。
焦点距離 | 絞り |
28mm~ | F2.8 |
32mm~ | F3.2 |
43mm~ | F3.5 |
79mm~ | F4.5 |
113mm~ | F5.0 |
148mm~200mm | F5.6 |
SONY純正E 18-135mm F3.5-5.6 OSSとほぼ同じズーム域
以前、SONYのAPS-Cカメラα6000用を例にして『高倍率ズームレンズの上手な使い方』でご紹介したのが、E 18-135mm F3.5-5.6 OSS(SEL18135)です。
APS-C用の18-135mmの画角は、各カメラメーカーでエントリー機用の『高倍率ズームセット』として売られているレンズの画角で、35mm換算だと27-202.5mm(Canonは1.6倍のため28.8~216mm)となり、28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXDとほぼ同等の焦点距離となります。
つまりAPS-C機の高倍率ズームを使っている方がフルサイズに変える際、違和感がない焦点距離となります。
ポートレートで使う28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD
自分は99%女性ポートレートを対象に撮影活動していますので、早速このレンズの写りを試してみました。
まあ、旅行先でも半分は一緒に行った人物の撮影になりますよね。
協力してくれたのはKANAさん。
よく撮影をする自由が丘で試し撮りです。
28mmから200mmまで
高倍率ズームレンズは広角から望遠まで1本のレンズでカバーできるのがポイント。
小型・軽量なので旅行に持って行く方も多く、撮影場所を移動できない等制限を受けるときには最適です。
レンズの紹介でもよく使われていますが、同じ場所でワイド端からテレ端まで撮影してどの位まで寄れるのか試してみました。
28-200mmというと、普段ポートレートの時に使う24-70mmと70-200mmをほぼカバーしていますので、感覚的には慣れた焦点距離。
SONYの場合、FE24-70mm F2.8 GMが886g、FE70-200mm F2.8 GM OSSが1480gなので、2本合せて2,366g。
それに比してこのレンズは575g。1日中撮影をしなければならない時は、この重量差はかなり大きいです。
望遠200mmでのボケ具合
テレ端200mm解放F5.6で撮影。
ポートレートレンズとして背景ボケを期待するには(F5.6だから)少し弱い感がありますが、旅行先で背景もしっかり入れて撮りたい場合はF8.0以上に絞ると思いますので、それほど問題にはならないというところでしょうか。
あと、少し気になったのが、高澤けーすけ氏の動画で『200mm位で撮影するとコントラストが低下(キレが悪い)』旨の発言をしていました。
自分自身が、色々な環境で試してみないとはっきりとしたことは言えませんので、今後の検証対象としたいと思います。
一応、上の写真の瞳部分を100%に拡大表示してみると、こんな感じになります。
GMレンズに比べると確かに甘い感じがしなくもありません。
他のサンプル
まとめ
今回使った高倍率ズームレンズは28-200mmなので、広角から望遠までの焦点距離を写すことができるのに、小型・軽量で、値段が安い(SONY純正と比較して)のが特徴。
軽量を目指すためにレンズ本体の手ブレ補正機能を省く位徹底していますが、最近のSONYミラーレスカメラは、本体に手ブレ補正機能が入っていますので、それほど問題にはならないでしょう。
また、最短撮影距離が0.19mと、マクロレンズが無くてもかなり寄れるレンズとなっているのもポイント。
食事をしたときに気軽にインスタ映えできる写真も撮れるでしょう。
小型・軽量・寄れるの3拍子を揃えているので、旅行に持って行くにはベストチョイスだと感じます。
残念なのはポートレートで背景をぼかしたい時。
F2.8が使えるのは31mmまでなので、Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA(SEL55F18Z)や、FE85mm F1.8等の軽い単焦点レンズをもう1本追加で持っていけば十分満足のいく写真が撮れると考えます。
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