SONY FE 35mm F1.8(SEL35F18F)で撮影するポートレート
公開日:2020.11.18
写真を撮影し、描写を追求していくと自然と単焦点レンズに行きつきます。(全員がそうとは言いませんが、そういうことが多いですよね。)
単焦点レンズは画角専用の設計がなされていますので、描写力に優れ、軽いのが特徴ですが、ズームレンズのように同じ場所から画角を変えるのではなく、大きく写したければ被写体に寄り、広く写したければ(被写体から)離れなければならないため、撮影中はかなり足を使う必要があるレンズです。
今回ご紹介するSONY FE 35mm F1.8は35mmの単焦点レンズ。
35mmは少し広角よりなため、スナップ用のレンズとして使われることが多く、現在SONYから3本の単焦点レンズが発売されています。
その中でも2019年8月30日に発売になった本レンズは、SONY純正で尚且つ最新の35mm単焦点レンズです。
35mmという画角はスタジオで人物撮影をするときには欠かせない程使っている画角なので、実際に使ってみた感想を詳しくレビューしていきたいと思います。
結論を先に言うと、やっぱり(ズームレンズに比べて)単焦点レンズ描写がいいし、軽くていい。
この記事の内容
SONY FE 35mm F1.8(SEL35F18F)の特徴と主な仕様
先にも述べましたが、現在SONYから35mm単焦点レンズは3本発売になっています。
それぞれ特徴があり、どの点を重要視するかによって選択肢が変わってきますので、早速SONYの35mm単焦点レンズ3種類を比較してみましょう。
どのレンズもミラーレスカメラ向けに、手ブレ補正をレンズ内に設けず、軽く、コンパクトに作られています。
Distagon T* FE 35mm F1.4 ZA |
FE35mm F1.8 | Sonnar T* FE 35mm F2.8 ZA |
|
焦点距離(mm) | 35mm | 35mm | 35mm |
解放絞り(F値) | F1.4 | F1.8 | F2.8 |
最短撮影距離(m) | 0.3m | 0.22m | 0.35m |
フィルター径(mm) | 72 | 55 | 49 |
レンズ内手ブレ補正 | 無 | 無 | 無 |
寸法(mm) | 78.5×112 | 65.6×73 | 61.5×36.5 |
重さ(g) | 630 | 280 | 120 |
価格 | 197,874円 | 67,430円 | 74,295円 |
(※価格は2020年10月末現在)
最短撮影距離が重要
自分が最重要視したのは明るさではなく、最短撮影距離。
35mmでポートレートを撮る際、被写体に寄ることでインパクトのある描写にすることが可能です。
特に室内で撮影すると、F1.4でもF1.8でもそれほど背景のボケに差が出ませんので、むしろボケを気にするのであれば、絞りよりもいかに被写体に寄ることができるかという点が重要になってきます。
AF速度と精度
FE35mm f1.8のAF速度は結構早く、普段使っているGMレンズFE 24-70mm F2.8GMに引けを取らない速度。
むしろ、Sonnar T* FE55mm F1.8ZAや、SONY FE 85mm F1.8 SEL85F18の方がAF速度は遅いと感じます。
精度も十分高く、囲み撮影等で他のカメラマンと一斉に撮り比べをしない限り、一番安い単焦点レンズを使っているという感じはしません。
モデルと一対一でポートレート撮影をするなら十分以上の速度と精度でしょう。
販売価格
あと、値段もありました。3本のレンズの中では一番販売価格が安い。
F1.4とF1.8を比較すると10万円以上の差があり、F2.8と比較しても5千円は安い。
普段使いするレンズはできるだけ安い方がありがたいです。
周辺光量落ちがかなり問題?
11月5日に、『ソニー「FE35mm F1.8」は周辺光量落ちがかなり問題』という記事がデジカメinfoに記載されました。
気になる方は確認していただきたいのですが、この辺は個々人のこだわりに該当すると思うので、レンズ本体のクオリティを追求するカメラマンは許容範囲かどうかご確認ください。
実際にRAWデータを確認してみると、『言われてみれば気になるけど、一般的にはレンズプロファイルを当てれば問題はない』と感じます。
風景を撮るカメラマンにとっては重要だと思いますが、ポートレートカメラマンはほどんど気にしなくていいのではないかと自分は思っています。
理由は簡単で、ポートレートでは四隅の細部までしっかり写さなければならない機会が多くなく、モデルを中央部分に配置して周りはボケにすることが一般的。
隅々まで見るのは写真の選考委員位ではないでしょうか。少なくとも被写体は自分の顔しか見ていないと思います。(笑)
ポートレートで使うSONY FE 85mm F1.8(SEL3518)
実際にレンズの販売価格が安くても、クオリティが悪ければ意味がありませんので、笑舞さんに協力してもらい、ご本人の希望を入れて東京丸の内でサンプル撮影です。
モデルさんに寄り、全身からバストアップの撮影。
全身もバストアップもf1.8で撮影をしていますが、背景のボケの感じが結構変わります。
ご希望の東京国際フォーラムに移動。
24mmほどゆがまないので、広角レンズに不慣れな方にも気軽に扱える画角だと思います。
35mmという画角は、個人的にはモデルさんとの距離が少し近いという点で、背景ボケが必要でない撮影の場合は結構気に入っています。
ただ、最初から近づくと一線を引かれる可能性がありますので注意しましょう。(笑)
上の写真の瞳部分を100%に拡大表示してみると、こんな感じになります。
PCで拡大してみないとわかりませんが、左目がボケ始めているのは、さすがF1.8というところでしょうか。
撮影DATA | |
---|---|
Model | 笑舞 |
Camera | SONY α7Ⅲ |
Lens | SONY FE35mm F1.8 |
まとめ
普段カメラを持ち歩くとき、描写力があり、軽いレンズを選ぶようにしていますので、SONY FE 35mm F1.8は(小型・軽量・防塵・防滴なので)一番ピッタリとくるレンズです。
屋外で撮影する場合は比較的広角扱いとなる本レンズですが、若干広い画角の写真から普通の写真も撮ることができ、自由度が高いので、
- スナップ的な(広角の)写真を依頼されている時
- 室内でそれほど被写体と距離がとれない場所=後ろに下がれない時
- インパクトのある写真を撮りたい時
にはSONY FE 35mm F1.8を選びます。
特にSONYの35mmの中では描写と値段のバランスがとてもいいので、解放値がとか、軽さがとかのこだわりがないのであれば、このレンズがベストチョイスです。
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