『モデル』と『被写体』の違いについて
公開日:2020.07.07

写真撮影の現場ではよく耳にする「モデル」と「被写体」という言葉。
昨今のSNSでは撮る側も撮られる側もよくわかってないと思える発言がされていますが、似ているようで、この二つには大きな違いがあります。
カメラの前に立つ人が、自ら表現して動く『モデル』なのか、自然体で写される『被写体』なのか・・・
その違いを理解することは、撮影の方向性や完成度・その後の公開基準に大きく関わります。
本記事では、カメラマンの視点から『モデルと被写体の違い』について具体例を交えながらわかりやすく解説。撮る側・撮られる側、双方に役立つヒントもご紹介します。
『モデル』と『被写体』の違いについての結論
「モデル」は撮影の目的・コンセプトを理解して表現することができる人、
「被写体」は自分自身が写されることを目的としている人
と言えそうです。
『モデル』と『被写体』を比較
カメラマンが撮影するモデル・被写体は全てプロ。という事はありません。
撮影の目的・依頼内容によっては、(入学式や七五三、成人式など)普段被写体として活動されていない方を撮ることの方が多いです。
また、普段モデル活動をしている方からの依頼でも、写真の使い方によって撮影スタイルは変わりますので、言葉上の違いとして理解していただきたいです。
比較項目 | モデル | 被写体 |
---|---|---|
意識の方向 | 見られる・表現することを意識 | 写されること自体が目的 |
能動性 | 自分の意思で表現・動きがある | 写す側(カメラマン)に委ねる |
経験 | 撮られ慣れている | 初心者や一般の人が多い |
表現力 | 高い | 自然(不慣れ) |
主体性 | 強い | 弱い |
撮影スタイル | 指示なしでも動ける | ポーズ指示が必要なことが多い |
撮影目的 | 見せたい世界観やテーマの表現 | 記念写真や体験としての撮影 |
写真公開 | 全てOKな場合がほとんど | 自分が気に入ったもの以外はNG |
実際の撮影現場での行動の違い
実際に撮影をする際、『モデル』と『被写体』では経験の差が大きく表れてきます。
比較項目 | モデル | 被写体 |
---|---|---|
ポートレート撮影 | 撮影の目的やコンセプトを理解し、 「こういうイメージで(撮影したい)」と言えば、表情やポージングで自発的にそれを表現できます。 (例として) 「都会的でクールな雰囲気を出して」と言えば、無表情気味で少し顎を引き、視線を外し、スタイリッシュな雰囲気を作ってくれます。 |
撮影の目的やコンセプトを理解していない。もしくは理解していても表現ができない。 「都会的でクールに」と言っても、具体的な動き方がわからず、「どんなポーズがいいですか?」と聞いてきたり、照れて笑ってしまうことも多いです。 カメラマンがポージングや表情の指示を細かく出す必要があります。 |
撮影会 | 「見せるプロ」として、カメラマンと協力して作品を作る意識があります。 表情、手足の角度、目線、光の入り方まで気にして動けます。 |
あくまで「撮ってもらう立場」であり、自分の役割を演じるというよりは「自然体」のまま撮られることが多いです。 |
ファッション撮影や作品撮り | 服の魅力を引き出すポーズや動きを知っていて、動きながら撮影できます。 撮られる側の「見え方」を自分でもコントロールできます。 |
衣装よりも「自分がどう写るか」に意識が向きがちで、衣装の見せ方を気にしないケースが多いです。 |

まとめ
『モデル』と『被写体』の違いは、単なる呼び方の違いではなく、撮影における役割や姿勢が違うだけで、優劣の関係ではなく、どちらが良い・悪いということではありません。
撮影における関わり方・意識の向き・表現力の深さの違いにあります。
それぞれにメリット・デメリットがあり、撮影の目的や方向性に応じて最適な対象が変わります。
カメラマンにとって大事なのは、撮影前に撮影対象が『モデル』なのか、『被写体』なのかを正しく見極めることです。
この違いを理解し、対応できるようになることで、
カメラマンとしてのスキルも一段と高まります。
その上で、相手に合わせて以下のような対応を取ると、撮影がスムーズに進み、仕上がりのクオリティも上がります。
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